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Special

ヒロインキャストインタビューVol.3
双葉理央役・種﨑敦美

キャラクターもキャストも
不意打ちを食らった
国見のなんでもない一言

収録現場で葛藤する
咲太と理央と国見の距離感

――初めて『青ブタ』に触れたときの種﨑さんの第一印象についてお聞かせください。

双葉理央役・種﨑敦美さん(以下、種﨑)
まず思春期症候群という発想がすごいと思いました。誰もが通っていて、誰の中にでもあるような悩みなのに、本作のような形で作品の軸に据えて作り込まれていますし、鴨志田先生の着眼点に驚きました。

そして、実際に原作を読んでみたらとても面白くて。それぞれの理由で思春期症候群が起きて、そのときの現象について「これ!」と納得できる形で解決方法が描かれているストーリーは魅力的に感じました。
ヒロインがそれぞれ違う原因で思春期症候群になっている……わけではないのかな……?

――と言いますと?

種﨑
起こっている現象や、そうなってしまった理由はみんなバラバラですが、きっとそれらは承認欲求のようなものが根幹にあると思っていて。
もし間違っていたら申し訳ないんですけど、個人的には形は違えどみんなそこに結びついている気がしますし、それって思春期っぽいなぁと(笑)。

でも悩み自体はそれぞれ違うものなので、面白いなと思いながら原作を読んだり、アフレコに臨んでいきました。
きっと、自分をちゃんと見てもらって、認めてもらえていたら全員解決できるのかなと、そんな気がしていて。

――なるほど。種﨑さんは双葉理央というキャラクターを演じられましたが、理央にはどういった印象を?

種﨑
オーディションの原稿を見たときはまだ原作を読んでいなかったんですけど、そのオーディション原稿を読んだときも原作を読み終わってからも、私の中で彼女の印象はあまり変わっていません。
普段から難しい言葉を使っていますし理系な彼女ですが、頭の中は単純なのかなと思いました。

――単純、ですか?

種﨑
自分と似ているところがあるからなのかもしれませんが、「こうしてもらえたらそれは解消できるよ」と共感できたから、そのように感じられたんだと思います。
「そういうことあるよね」「でも分からない人には分からなそうだよね」と思っていたので、私からすると単純という印象です。
ただ、私は理系とは真逆な人間なので、その点は似てないんですけど(笑)。咲太が言っていましたが、きっと“面倒くさい子”だと思います。

また、思春期症候群として起こっていることは、現象だけ見ていると「なんだこれは!?」という印象ですが、彼女はそれを言葉で説明できる唯一のキャラクターと言いますか。物理的に説明できることもあって頭の中は意外と整理できているのかもしれません。
そうなると単純とは少し違うのかなぁ……。

――たしかに、咲太が相談することに対してはロジカルに仮説を立ててくれます。

種﨑
きっと自分のことも客観的に考えられているんだと思います。ただ「単純とは言ったものの人間ってそんなに単純じゃないよね」と言いますか。
「こうすれば解決できるんだ」ということは分かるけど、理央に関しては咲太や国見君に完全に頼らざるを得なくて。そのことまで理解できてしまうからこそ、なおさらふたりに自分の抱えた問題を言えなかったのかなって思いました。

――1話から出演している理央のお当番回ですが、
第7~8話を全体的に振り返ってみていかがでしょう。

種﨑
友達なんだよな~……という(笑)。
なんとなくですが、座る位置も、マイクの位置も、みんなお当番回が来たら石川(界人)さんの隣に行くんですけど、私は一番離れたところに入るようにしていて。
他のヒロインとは違う位置にいるということを忘れないようにしたい意識がありました。
もちろん第6話まではその通りに過ごしてきて、第7話からのお当番回では一瞬隣に行こうかとも思ったんですけど「違うな」と思って。

内田(雄馬)さんも入れる時は基本石川さんの隣に入りますし、二人は並んでいて一つ空いて自分。関係ないといえばないかもなのですが物理的なところで気持ちを味わっていたと言いますか、他のヒロインとは違う立ち位置だったなと思いました。

――マイクの立ち位置までキャラクターに寄っていたんですね。ちなみにスタジオ内のマイクが4本あるとして、石川さんが一番端のマイクを使っていたら、種﨑さんは3番目か4番目のマイクに入っていたということでしょうか?

種﨑
そうですね。基本的に4つ目にしか入っていないです。たまたま全部そのマイクに入れたので。
もちろん、マイクワーク的に他のマイクに入らないといけないこともありますけど、基本的には同じマイクを使うことができました。
ちなみに、ここでは内田さんのことをあえて国見君と言いますけど、アフレコの休憩中の発言がなかなかに残酷なんです(笑)。

――残酷?

種﨑
合間に音響監督さんや石川さんと話している会話が「それ理央の前でするなよ……」という内容で(笑)。
国見君の彼女さん(※上里沙希)って、結構激しめな性格じゃないですか。そのことについて「なんで国見はこの子と付き合ってるんだろうね?」「いやきっと描かれてないけど、違う場所で良いところを見せている一面があるんだよ」といった会話が行われている中、一度、国見君(内田さん)が「理央の方が絶対にいいのにね」って言ったんですよ。「はぁ~??」と思って(笑)。

私は理央の気持ちで国見として内田さんの発言を聞いてしまったので、ツラいしムカつくしなんだこりゃって(笑)。現場の女子の間では、(キャラクターの)咲太君と国見君は男としてどうなのって話になることもあって(笑)。
「優しい言葉は人を傷つけるよ」って思うこともあり、現場のふたりが理央にとってツラい会話をしていたこともありました。

――なるほど、現場の女性陣はみなさん思うところがあるんですね(笑)。

種﨑
きっと第8話までに出ている女性キャストの方はそう思っているのかもしれません(笑)。

――そんな国見の印象は種﨑さんからご覧になっていかがでしょう。

種﨑
罪なやつ?(笑)
誰から見ても誰に対してもこんな風に接してくれるなんて「モテるのかなぁ?」って思っちゃいます(笑)。個人的には「絶対に好きにならないけどなぁ」って思いながらも「誰にでも平等だと思いつつ、こういう風にしてもらえるのが自分だけだったらいいのに」みたいに女子は思うんですかねぇ……(遠い目)。

でも、こういう人いるよなぁとも思いました。すごく自然体で悪気も悪意も全くなく、みんなに平等で。誰かがこうだから自分はこうする、ということではなく。
夜中に自転車で走って来てくれたのが“友達だから”ではなく“理央だから”だったらいいのになって。
きっと国見君は他の人が同じように困っていても、同じ行動をするような気がします。
でもそうじゃないって思ったから、きっと理央Bは救われたんじゃないかなと思います。ただ、種﨑的には……モヤモヤします(笑)。

――(笑)。咲太と国見はさておき、収録現場の全体的な雰囲気は?

種﨑
序盤から出ているみなさん、この作品が好きで作品について盛り上がっていますね。
それ以外のところでも、咲太(石川さん)と国見君(内田さん)が実際に仲良しなので、そこから派生してみんなを巻き込んでいて賑やかだなと思います。

それこそ石川さんは咲太に似ている気がします。理央が言っていることを「それってこういうこと?」って返せる咲太はすごいと思うんですよ。
きっと石川さんも、同じように理解して返せるような気がしていて。そこだけではないですが本当に咲太になるべくしてなった方なんだなぁと思いました。

同じ理央、同じ人間だから

――今回、誰かにかまってほしい理央と、その手段が許せない理央の人格が分かれてしまいました。そこで理央Aと理央Bが登場しますが、こちらは演じる上でどのように考えたのでしょう。

種﨑
原作を読みながら「私はこれどうするんだ!?」と思いました。
どちらかが本当の理央で、もうひとりが元から分離した理央なのか。最初に本物を決めた方がいいのかなと考えましたが、分からなかったんです。
最初は消えてしまう方の理央が本物だと思っていましたが、そう考えると「理央は理央なのに、これはできないや」と思ってしまって。

なので、本物とかは決めずに、その場で誰と喋っているか、今どこにいるのか、そのときに何を考えているのか。それらに応じて演じていこうと思いました。
自分だけで考え込んでもダメだと思うので、咲太のセリフとかを聞いてその場で演じようと思ったんですけど、持っていった演技をテストでやってみたら「そうじゃありません」とディレクションで言われてしまって(苦笑)。

全然分かっているようで分かっていなかったんだなと実感しました。理央A……咲太のお家にいる方が、彼の近くにいながらも起きていることに不安を感じているんじゃないかと思って、そのように演じたらスタッフの方に「不安なニュアンスはいらないです」「起こっていることは不安かもしれませんが、今は居場所があるから」と。私も「あ、そっか」と納得しました。
居場所があるから、咲太の近くにいるから不安なニュアンスは出さなくてもいいんだと。

――ネットカフェで咲太と出会ったときが不安のピークで、そこから徐々に不安が取り除かれていったのでしょうか。たしかにディレクションのお話を聞いて少し意外でした。

種﨑
もしかしたら、私が不安を出し過ぎていたのかもしれません(笑)。
理央Bの発言から不安な気持ちが感じられなかったので、その感情を理央Aに含ませていたので。

ただ、結果的に理央Bと咲太と国見君の写真を見てあれだけ爆発してしまったわけですから、決して不安がないとは言い切れないのかなとも思いつつ。あくまでそのシーンでは不安がいらなかっただけで、不安はどこかにあったのかなぁ……とも考えて個人的にはパニックでした(笑)。
ただ、理央Aも理央Bも考えていることは分かっていますし、どちらも理央だよなぁと。演じているときは先ほどお話ししたようにプチパニックでしたが、難しいとは思わなかったんですよね。

――それはどうして?

種﨑
どうしてなんでしょうね……(笑)。同じ理央、同じ人間だからでしょうか。

――ちなみに収録では理央Aを録ってから理央Bを録っていったのでしょうか。

種﨑
いえ、どちらも分けず台本順に録っていきました。最初はシーンごとに切るのかなと思っていたら……そのままでしたね(笑)。
それこそ同じ理央ですけど、思っていることがその場で違うふたりなので、それも別に難しくはなかったです。「止めないんだ」とは思いましたが、全然イケるという感覚でした。

理央も種﨑さんも
不意打ちを食らった国見の一言

――理央は思春期症候群について、咲太に次いで詳しいはずなのに彼に自ら相談することはありませんでした。こちらは種﨑さんからご覧になってどのように感じましたか?

種﨑
最初の方にお話しした通り、発症した原因が自分で分かるということもあると思いますし、認められたい感情とその手段が許せない感情を打ち明けるのは、どちらも恥ずかしいのかなって個人的には感じました。
でも、そこもドライに言える理央がいてもおかしくなさそうではありますが……ふたりとも聞かれるまで言えなかったしなぁ……。

話せばなんとかしようと動いてくれるのが分かっているからなのでしょうか。……ともあれ、言えない気持ちや言わない気持ちは分かりませんが、理央がやっていたことは普通ならなかなか言えませんよね。
うーん、鴨志田先生に聞いてみたいです(笑)。

――また、今回は理央の国見への好意が顕著に描かれていた印象を受けましたが、その感情をどれくらい乗せて演じようと考えていましたか?

種﨑
アニメだからと言って、好意を分かりやすく出したくないという気持ちはありました。先ほども言いましたが、理央は単純で反応が分かりやす過ぎるんですよね。
……ただ、そう考えていたんですけど、第5話で国見君が部活の途中で理央のところに来て「双葉」と呼んでくれたシーンを見て「(好意を)出さないなんて無理!」と思ってしまって。個人的に「嬉しい!」「好き!」と思ってしまいました。出したくないとは思いつつも好きという感情が勝手に出てしまって、自分で想定していたよりも分かりやすく感情を乗せてしまっていた気がします。その「双葉」の破壊力が印象的で、国見君への好意を改めて実感しました。

また、困っているときに自然と助けてくれた国見君の言葉が、また彼らしいと言いますか。国見君にしか言えないようなセリフでしたし、素敵だと思いました。

――また理央Bは、咲太と国見と花火をしているときに「梓川と国見が女子だったらよかったのに」と呟いたことから「単純に誰かに構って欲しかっただけかもね」と言っていた理央Bが救われたようにも感じられました。

種﨑
救われたのと同時に理解したのかなって思いました。ふたりが女子だったら何も気にせず、もっとずっと近くにいられるのに、と。

これはあくまで私個人の考えですが「この人の考え方好きだな、友達になりたいな。友達になってください!……と言いたいしいっぱいお話し聞きたいけど、男性だしな。周りに色々誤解されそうだな……言わないでおこう」みたいな。とても興味があって友達になりたいけどやめておこう、ということが人生の中で何度かあったので…主に小さい事を気にし過ぎていた声優になる前の会社員時代の時ですけど…。
そういう意味合いもセリフの中に少し含まれているのかなと思いました。

この3人は男友達というわけではないですし、ふたりには彼女さんがいるから別と言いますか。「ふたりが女子だったら、その悩みは解決するんだよなぁ……」というようにセリフを読んでいました。
なので、救われるのと同時に、そういったこともすべて理解してしまった瞬間だと思いました。

――なるほど。

種﨑
理央とふたりは異性ですが、何かがあったときにいつでも助けてくれることも分かっていて。
でも「理央と麻衣さんが同時に同じことになっていたら麻衣さんの方に行くんだろうな。あれ?どちらも同時に助けるって事が無理な時ってどっちを選ぶんだろう……うん、当然麻衣さんだよなぁ」みたいな(笑)。

――ちなみに今回の双葉のように種﨑さんがもし2人に分かれるとすれば、それぞれどんな感情だと思いますか?

種﨑
とにかくお芝居をし続けていたい、誰かに何かを発信し続けていたいという感情と、誰にも見られず引きこもっていたいという感情でしょうか…人に見られるのは苦手だし、自分のこと、自分の考えている事思っている事を知られるのもこわいのですが、お芝居は死ぬまでやり続けたいし人に届けたいしやりたい事も伝えたい事もたくさんで…その二つの感情で思春期症候群を発症できると思われます。

理央の魅力を絵と芝居に込めて

――これまでのエピソードを通して、咲太の魅力はどういったところだと思いますか?

種﨑
理央づてで国見君が言っていた通り「ありがとう」と「ごめん」と「助けて」が言えるところではないでしょうか。
大人になると、その言葉を言える相手が限られてきますよね。咲太は誰にでもその言葉を言えるのかは分かりませんが、少なくとも国見君には言えるから彼は魅力として挙げたのかもしれません。

――ではお当番回を経て受け取った理央の魅力についてお聞かせください。

種﨑
場する女子の中では、個人的に一番友達になりたい思えるところでしょうか。

――他のヒロインではなく、理央だからこそ友達になりたい?

種﨑
はい。嘘をついたり取り繕ったりしないからかな?
頭の中がクールだったりクレバーなところは自分が持っていない要素なので、尊敬の意味を込めてすごいと思います。咲太たちに対する態度しか見ていないので、誰に対してもそうなのかは分かりませんが……。
ただ、思ってないことを言わないというところは信頼できると思います。私が「理央と友達になりたい理由」になってしまいましたが……!

――でもそれが種﨑さんにとって魅力的に感じて、友達になりたいと思う理由になっているわけですからね。

種﨑
そう……なのかもしれません。麻衣さんとは別の意味で気持ちのいい女の子だと思います。
魅力とは違うかもしれませんが、それが私の、理央の好きなところです。

――そして、第1話から出演していた理央ですが、お当番回を終えた今だからこそ見返してほしいシーンを挙げるとすれば?

種﨑
理央じゃないですけど、先ほどお話しした第5話の国見君の「双葉」はもう一度聞いてほしいです! 「ドキッとするよ~」って(笑)。

――国見の爽やかな雰囲気にドキッとする……ということですか?

種﨑
爽やかというより、なんでもないんです。もう、そう呼ぶのが当たり前というくらい、自然に理央の名前が呼ばれているので、ぜひもう一度見てみてほしいです。
一緒に出ているシーンは他にもありますが、種﨑的にはその一言が強すぎてその回の収録で台本にメモをしました。「双葉って呼ばれた。最高」って。

――理央を演じている種﨑さんがそれほど心に残った一言だったんですね。

種﨑
ちょっと引かれるかもしれませんが、その回の帰り道に嬉しくて泣いていた気がします。その一言がずっと心に残っていました。理央はそれを聞いたとしても、決して泣いたりしないと思いますが(笑)。ただ、私にとってはそれほどまでに衝撃的でした。

……今もう一度聞いたら、実はそうでもなかったりするのかもしれませんが(笑)。
でも、その一言を聞く一瞬は、理央のような乙女になった気持ちで見返してほしいです。

――最後に視聴者の方へのメッセージをお願いします。

種﨑
第8話まで『青ブタ』を見てくださってありがとうございます。
今回の原作エピソードを2話に収めることって、すごいことだと個人的に思いました。私は原作を読んでいるが故に、どうしても尺の都合上でカットしてしまったシーンが思い浮かんでしまうんですけど、それでもストーリーが成立しているんです。
だから私はアニメで描かれていない部分を、アニメの絵と自分のお芝居でちゃんと表現できていたらいいなと思いながら演じさせていただきました。

きっと、どのキャストのみなさんもその思いを込めて演じていると思うので、そういった部分も込みで受け取っていただけたら嬉しいです。みなさんこの作品が大好きで、「こんなに面白い作品なかなかない」という話が収録現場でもずっと続いています。好きだからこそ、より一つ一つのセリフを大切に、楽しみながら演じられています。
この作品の魅力がアニメとして伝わっていたら幸いです。そして、これから先もこれまでと違う思春期症候群、ヒロイン達の目が離せないストーリーが見られます。
引き続きよろしくお願いいたします!

――ありがとうございました。